第15章 お義姉さん、私のこと覚えてたんですね!

福田祐衣は自嘲気味に唇の端を吊り上げたが、声には苦渋の色を滲ませて答えた。

「まさか。それは会社の最重要機密よ。私みたいな新人にそんな資格があるわけないじゃない」

「今の私はただの雑用係だもの。目も見えないし、人の顔さえろくに覚えられないのに」

電話の向こうで、井上颯人は苛立ちに眉を寄せた。

だが、彼は努めて声を和らげ、優しく諭した。

「いいかい祐衣、怖がることはないよ。焦らずゆっくりやればいい」

「君は優秀だ。宮本陽叶も君の仕事ぶりを高く評価しているんだから、真面目にやっていれば必ずチャンスは巡ってくるさ」

「その時は、うちの会社のことを一番に考えてくれよ? こっちこそが、僕...

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